2014年12月27日土曜日

生体機能代行装置学―血液浄化療法―  目次

今回は、血液浄化療法装置の目次を書き表したいと思います。
もちろん、今後変更になる可能性はあります。

目次 (順番は変わることがある。)
1.人工透析とは?―仕事の現場と臨床工学技士・透析技術認定士―
2.腎臓の解剖生理学と病理学
3.腎機能の検査と透析導入の基準
4.人工透析の2つの主作用と原理
5.ダイアライザと透析膜
6.透析液と抗凝固薬、バスキュラーアクセス
7.水処理装置・透析液供給装置から透析用監視装置まで
8.水質管理
9.血液透析のオンライン化とその他の治療モード
10.腹膜透析
11.持続的血液浄化療法
12.アフェレシス療法
13.ダイアライザの性能評価
14.糖尿病患者の増加と人工透析
15.最新の透析(全自動プライミング・在宅透析・腎移植)


2014年12月26日金曜日

一般教養としての生物学 目次

医用工学と直接関係ないが、生化学や解剖生理学で用いる生物以外の生物学を解説していこうと思う。

目次
1.遺伝とは?
2.個体の多様性
3.突然変異
4.遺伝子治療
5.生物の分類体系
6.コドン
7.分子進化
8.イントロンとエキソン
9.コドン選択
10.集団の遺伝的特性
11.選択交配
12.機会的変動
13.適応度



医用工学に用いる物理学・一般教養としての物理学 目次

工学を学ぶ上で物理学は必須である。
ここで、医用工学必要な物理学に加え、知っておきたい物理学について、概論に絞って解説していく。
目次を以下に示す。

目次
1.古典力学(慣性モーメントからオイラーの方程式まで)+骨モデルと力学的特性
2.解析力学(ラグランジュ形式・ハミルトン形式)
3.流体力学・連続体の力学(回転系・カオスについてのテンソル解析)+血液の特性
4.熱力学(各法則、及び伝熱学)+生体の熱発生とサーモグラフィ
5.機械工学(応力・ひずみから粘弾性)
6.電気回路(電気の基礎から電気工学的考え方)
7.電磁気学(マックスウェルの方程式)
8.電子回路(ダイオード・トランジスタとそれを用いた増幅作用)
9.情報システム工学(コンピュータと演算回路)+電子カルテ
10.波動・振動(光の特性と音波)+レーザと超音波
11.統計力学(カノニカル分布から凝集)
12.量子力学(シュレーディンガー方程式から摂動論)
13.固体物理学・物性物理(フントの法則と励起)
14.相対性理論(特殊・一般)
15.原子核物理・素粒子論(PET・SPECT・CT)
番外.バイオメカニクス(組織・血液・骨)

これらが理解できれば、現象を深く理解することができる。

2014年12月25日木曜日

人工心肺のトラブルシューティング1 -troubleshooting of cardiopulmonary bypass-

事例1

   完全体外循環中のメインの送血ポンプが停止した。

起きること→ポンプが止まれば、循環が止まることに等しい。
        常温の人工心肺の場合、2~3分で脳の器質的変化が起こり始める。

対処法→脳血回路の遮断を行う。ただし、遠心ポンプの場合、送血回路も遮断する。
      手動操作でポンプをまわす。
      循環を確保する。

原因→ローラポンプ:モーター部のベルトの断裂、異物の巻き込み
              過負荷によるモーターの加熱
     遠心ポンプ:ベッドの取り付けなど

完全体外循環中というのは、心臓が血液を送り出すというポンプの役目と、肺で酸素化されるという役目を全て体外で行ってる状態であるとも言える。
体から血液を抜くために、ローラポンプによる陰圧脱血と、落差による落差脱血の2種類があり、そのポンプが止まると、体に送血することができなくなり、血液を必要とする脳が最も最初に、ダメージを受けることになる。
対処方法としては、必ず人工心肺に取り付けられている、ハンドルを用いて、手動でポンプをまわすというやり方を行う。そうすることで、最低限の循環を確保する。その間に、パートナーに予備のポンプを持って来てもらう。ここでも、ポンプがどこにあるか、しっかりと整理しておく必要がある。
原因としては、ローラポンプのローラ部分に、負荷をかけすぎたために生じる加熱や異物の巻き込みによる停止や、遠心ポンプでは、インペラ部分の加熱によって蛋白変性することで停止などが考えられる。


事例2

   大量の気泡の送り込みが発生した。

起きること→全身レベルでの空気塞栓となる。
        特に脳梗塞のの危険性が高い。

対処法→少量の場合:ポンプを停止せず、流量を少なくしながら、体内に吸収させる。
      大量の場合:体位で頭を低く、足も低くする。
               頭を揺らさして上に気泡を移す。
               低体温にする。センサーをつける。
               逆行性の送血

原因→センサを付けない、亀裂がチューブにあった。


体外循環を行う上で、最も重要なことは空気を送らないことである。それは、もちろん人工心肺のみならず透析などでも同様である。もともと、体を流れる血管内に空気が入ることなどないので、血液を体外へ出して戻す体外循環中に空気が入り、体の中に送ってしまえば、体にとんでもない異常が現れてしまう。特に脳は酸素がなければならない上に、血管が細く、空気塞栓を起こす可能性があるため注意しなければならない。
対処方法として、もし空気を送ってしまった場合は、脳に送ることだけは阻止しなければならないので、空気は高い方へ移動することを利用して、頭と足を下にし、逆行性の送血を行うという手段をとる。
この事故は、リザーバーが空になったことに気付かずに送血を続けることで起こるため、リザーバーの血液レベルが一定レベルまで低下したら、警報がなる装置の取り付けが急務となっている。

2014年12月24日水曜日

医用工学―医療機器を中心に―

医用工学で主となる内容は、医療機器である。

医療機器にも用途によって数種類に分けられる。
そもそも医療機器の定義は、
「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であつて、政令で定めるもの」(薬事法第2条)
と薬事法で定義されている。

ここで使用用途は、診断・治療・生体機能の代行が主に挙げられる。

ここから、
診断に用いる生体計測装置
治療に用いる医用治療機器
生体機能を代行する生体機能代行装置
となる。

・生体計測装置
 1.電気や磁気を計測する機器
  例えば、心循環器・脳神経系の計測など

 2.物理・化学現象を計測する機器
  例えば、血圧・血流の計測、呼吸の計測、ガス分析の計測、体温計測など

 3.画像診断装置
  例えば、超音波画像計測、X線画像計測、RI画像診断、核磁気共鳴画像診断、内視鏡など

 4.検体検査
  例えば、自動分析化学検査装置、自動血液検査装置など


・医用治療機器
 1.電磁気治療機器
  例えば、心臓ペースメーカー、除細動器、電気メス、マイクロ波手術装置、カテーテルアブレーション装置など

 2.光治療機器
  例えば、レーザ手術装置など

 3.内視鏡
  例えば、内視鏡、内視鏡外科手術機器など

 4.超音波治療機器
  例えば、超音波吸引機器、超音波凝固切開装置など

 5.熱治療機器
  例えば、冷凍手術器、ハイパーサーミア装置など

 6.機械的治療機器
  例えば、結石砕石装置、輸液ポンプ、心血管インターベンション装置、吸引器など


・生体機能代行装置
 1.呼吸療法装置
  例えば、人工呼吸器、麻酔器など

 2.体外循環装置
  例えば、人工心肺、補助人工心臓など

 3.血液浄化療法装置
  例えば、人工透析、アフェレシス療法など



上記のように、数多くの医療機器が存在する。
これらを理解するためには、工学的知識に加え、物理・化学の知識、また生体の反応も考えなければならないため、医学的知識も必須である。

このブログでも、各々の医療機器について説明していく予定である。


これらの医療機器の原理から使用用途まで、幅広く知りたいという方には下記の本がおすすめである。

・MEの基礎知識と安全管理 改訂第6版:日本生体医工学ME技術教育委員会、南江堂、1991年6月10日 第1版第1刷発行

医用工学という分野

医用工学(Medical Engineering)という分野を知っているだろうか?
最近では、大学の学部で「生体医工学」という名前を見かけるようになりました。

この医用工学に似た言葉に、臨床工学(Clinical Engineering)というものがあります。
コトバンクによると、
医用工学…工学で発展した技術などを医学に取入れて役立たせようとする学問領域をいう。*1
臨床工学…医療用機器の操作、保守点検に伴う臨床上の問題などを研究する医学の一分野。*2
                                              (一部改変引用)


つまり、
医用工学は、「医学に工学を応用する、工学の一分野である。」と簡単に表され、また臨床上の問題を工学的に解決することも含まれているため、臨床工学を含む大きな枠組みであるとも言える。

このブログのタイトルにある医工連携とは、医学と工学の連携にとどまることなく、医学者と工学者が連携することも含んでいる。

このブログでは、主に工学分野に焦点をあてることにする。もちろん、医学に関しても触れていく予定である。

・資格試験について
 医用工学関連の資格として、「第1・2種ME技術実力検定試験」が挙げられる。
 概要や日程などの詳しい内容は、ホームページを参照にして欲しい。
 ホームページのURLを示しておく。(http://www.megijutu.jp/index.htm)

  内容的には、工学に焦点当てており、医学的設問はほとんどない。
 難易度は、合格率が3割前後であり、準備をしっかりとしておかなければ難しいという程度である。
 私自身は、2週間の勉強で合格できた。
 五問択一形式であり午前と午後に分かれている。午後には小論文問題もある。
 
 また、臨床工学技士と言われる国家資格があり、こちらは医学分野も含まれる。


医用工学について、概要を大まかに知りたい方は、下記の本をおすすめする。

・臨床工学シリーズ6 医用工学概論:嶋津秀昭、石山陽事、副島昭典、四倉正之、中島章夫、福長一義、三谷博子、田中薫、渡辺篤志、小林博子、瀬野晋一郎、コロナ社、2007年9月7日初版第1刷発行


・引用元
*1https://kotobank.jp/word/%E5%8C%BB%E7%94%A8%E5%B7%A5%E5%AD%A6-32332 
*2https://kotobank.jp/word/%E8%87%A8%E5%BA%8A%E5%B7%A5%E5%AD%A6-660079#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89